英語で一部の動物にのみ、複数形がないことをご存知ですか?
英語の辞書を参考に、動物の複数形を表すルールをわかりやすくまとめました。
少なからず単複同形になる外来語由来の単語や、発音が理由で複数形にならないものなどについても参考にしてみてくださいね。
目次
どうして?英語で一部の動物だけ複数形でないのは…?
sheepとfishにはなぜ複数形がないの?
「sheepとfishにはなぜ複数形がないの?」
中学生のわが子に質問されて困っています。
「fishの複数形はfishesだろ」というと「でも a lot of fish って書いてあるよ。」と辞書を見せられました。
単複同形って?
sheepも[単複同形]と書いてあり、「単複同形って数の数えられないものって先生が言ってたけど羊は数えられるでしょ」などと追い討ちをかけられています。
正直、私もわかりません。どなたか、この質問にお答えください。
- sheepとfishに複数形がない理由が知りたい
- sheep「単複同形」にあたるとされているが、羊は数えられるのにどうして?
中学生頃になると、子どもの「何で?」の質問に答えるのが難しくなってきますよね…。私も正直英語が苦手で、将来娘に質問されても上手にこたえられる自信がありません。今からでも勉強しておくべきか…
動物の単数形と複数形について、英語の辞書を見てみると…
長い母音も持つ中性名詞は、単数形と複数形が同形になった
sheepという単語を引いてみますと、「先史時代には複数形であることを示す語尾として-uが付いていたと考えられるが、古英語(700年頃~1100年頃の英語)の時代にはその語尾-uが脱落して、単数形と複数形が同形になった」と英語で説明されています。
古英語の名詞には、ドイツ語と同じように、男性名詞・女性名詞・中性名詞という区別があり、sheepは中性名詞に属していました。
そして、sheepのように長い母音も持つ中性名詞は、複数であることを示す語尾-uが脱落して、単数形と複数形が同形になったのです。
羊は群れを成して生活するため、集合体として見ていた
しかし、長い母音を持つ中性名詞のすべてが現在でも単複同形のままかというと、決してそうではありません。
例えば、word(語)という単語は、古英語の時代は長い母音を持つ中性名詞で、かつては単複同形でしたが、現在では語尾-sを付けて複数形を作ります。
では、なぜsheepの複数形は語尾-sを付けないままだったのでしょうか。それは、羊が群れを成して生活することが多かったからだと考えられています。
つまり、羊を1匹1匹ではなく、集合体として見ていたからだと考えられています。
他にもdeer(鹿)やcarp(鯉)など、単複同形の名詞に狩猟の対象となる生き物が多いのはそのためだと言われています。
- 長い母音も持つ中性名詞は、単数形と複数形が同形になっている
- word(語)という単語も以前は単複同形だったが、今では語尾に-sを付ける
- 羊は群れで生活するため、1個体ではなく集合体として判断されていた
羊は1個体ずつではなく、集合体として認識していたから、単複同形として現代にも残っているのですね!この理由なら、子供もすんなり納得してくれそうです。複数形の覚え方としても、参考になりそうです。
表わすルールとは|英語で動物の複数形にする
Deer(鹿)とFish(魚)には、
可算名詞と不可算名詞の両方がある
DeerとFishには可算名詞と不可算名詞の両方があるんだ。
使い分けとしては動物としてのDeer、Fishは可算名詞(=数えられる名詞)で、食用加工されたDeer、Fishは不可算名詞(=数えられない名詞)になるよ。
可算名詞 Deerの複数形はDeer
可算名詞としてのDeerの複数形は、DeersではなくDeerになるよ。
これは、「複数形は語尾に-sをつける」というルールの例外なんだ。
こうした例外はDeer以外の多くの名詞で見られるよ。例えば、
羊 sheep(単数形)→sheep(複数形)
ガチョウ goose(単数形)→geese(複数形)
ネズミ mouse(単数形)→mice(複数形)
なぜこのような例外があるのかは、ネイティヴでも分からないよ。
何となく習慣的にそうした数え方をしているのさ。
だから、Deerを数えるときは
1 animal → 1 deer
2 animals → 2 deer
3 animals → 3 deer
という数え方をし、「たくさんの鹿」と言いたいときはmany deerという言い方になるのさ。
可算名詞 Fishの複数形も Fish
可算名詞Fishの複数形もFishになるよ。
ただし、Fishの場合は慣習的に複数形をFishと言ってるのであって辞書的にはFishesという単語も誤りではないんだ。
だから、普段の生活でFishを数えるときは
1 animal → 1 fish
2 animals → 2 fish
3 animals → 3 fish
という数え方をしていき、「たくさんの魚」と言いたい時はmany fish という言い方になるのさ。そして、魚の種類を数える時では
2 fishes よりも 2 kinds of fish の方が一般的だよ。Fishes という単語は辞書的には正しい単語で古い書籍などでは普通に使われているんだ。
ところが、慣習上は 2 fishesと言う使い方はあまりせずもしそうした使い方をした場合、昔言葉のような印象があり違和感があるよ。
不可算名詞としての Deer とFish
切り身などに食用加工されたDeer(=鹿肉)、Fish(=魚肉)は不可算名詞になるよ。
Fish Deer 不可算名詞だから、
「2ポンドの鹿肉」と言いたいときは 2 pounds of deer、
「2切れの魚の切り身」と言いたいときは 2 slices of fish、
といった感じで表現していくんだ。
- 可算名詞と不可算名詞の両方がある名刺がある
- Deer、Fishを動物として使う場合は可算名詞
- Deer、Fishを食用加工された物として使う場合は不可算名詞
- 可算名詞 でもDeerとFishの複数形はDeer、Fishのまま
なんだか頭がこんがらがってきそうですね。ただ可算名詞でも不可算名詞でも、表記の方法はDeerとFishとなるので、難しいことを考えるのが嫌な場合は、そのまま覚えてしまっても良いかもしれません。
基本的には、複数形にならない!外来語由来の単語は「単複同形」で用いることが多い
外来語由来の単語は少なからず単複同形
日本語がそのまま英語になった sukiyaki(すき焼き)や yen(円)のように、外来語が由来となった言葉は単複同形が多いといえます。
・sushi(寿司)
・sukiyaki(すき焼き)
・tempura(天ぷら)
・yen(円)kimono(着物)などは複数形を kimonos と言う場合もあれば、単複同形で複数形も kimono と言う場合もあります。
日本語由来の単語を単複同形で用いるかどうかは、人によって異なる場合があります。単複同形の単語を見分ける明確な基準は見出しにくそうです。基本的には、単複同形で用いることが多いと覚えておくと良いでしょう。
語末が -craft の単語も単複同形
単語の語末が-craftの単語は単複同形となります。
・aircraft(飛行機)
・shuttlecraft(スペースシャトル)
・spacecraft(宇宙船)同じく-wareを語末に取る語も複数形がありません。(ただし、こちらは一般的には不可算名詞として扱われるため)
・hardware(ハードウェア)
・software(ソフトウェア)
・ironware(鉄製品)単複同形の単語が主語になる場合には、動詞を一致させるときに注意が必要です。単語が単数形であっても、複数形を示す数詞などがある場合には動詞も複数形に対応します。
- 外来語がもとになっている単語は単複同形となる
- 語末が -craft で終わる単語も単複同形となる
単複同形になるかどうかは、ある程度規則性があるため、上記のポイントを押さえておいてはいかがでしょうか?単複同形の単語を使って文章を書く場合は、動詞を単数形にするのか複数形にするのか間違わないように気をつけましょう。
複数形にならないものには、発音がしづらいという理由も
-ese で終わる「~人」の単語
発音の理由によるもの
Japanese のように -ese で終わる「~人」の単語
Japanese, Chinese, Portugese, Vietnamese ‥‥
「日本人」「中国人」「ポルトガル人」「ベトナム人」の意味で使われる時は単複同形になります。
-ese を更に複数形にすると発音しづらい
・-ese を更に複数形にすると発音しづらいというのが理由でしょう。
これと同様に Swiss 「スイス人」も単複同形の名詞です。
- -ese で終わる「~人」という意味の単語も単複同形になる
- -ese を複数形にすると発音しづらいことが理由
日常的に使われる言葉だからこそ、発音のしやすさも重視されているようです。「~人」という単語、とくに「Japanese」などは中学校の英語でも頻繁に使われることが多いと思うので、ぜひチェックしておいてくださいね。
複数形にすること!ペアで1つのものは
英語では対になっているものはあくまでも“複数”
ペアで1つのものは、複数形にすることを忘れずに!
例えば、「この眼鏡はPCユーザー用です」と英作文したいとき、日本人は眼鏡を複数形で捉えることはあまりしませんよね。
しかし、英語では対になっているもの(眼鏡、ズボン、靴など)はあくまでも“複数”という捉え方をしますので、 日本語の感覚に引きずられることなく、ちゃんとglassesを使うようにしましょう。
例文
例)この眼鏡はPCユーザー用です。
→These glasses are for PC users.
(×This glass is for PC users.)
- メガネやズボンなど、ペアになっているものは複数形であらわされる
- メガネはglassではなくglasses
メガネやズボンなどを複数としてとらえるのは、日本人にとってはあまりなじみがないですよね。私も中学生の頃、どうして「メガネ」が”glasses”と複数形になるのか不思議に思ったものですが、今になってようやく謎が解明されました。